大叔父が遺した博物館は、時間旅行の秘密の実験場だった。天涯孤独になった勇介は、過去を彷徨う大切な人の魂を救うため、危険な旅路に出る。パートナーは碧い瞳の不思議な学芸員枇杷。「命綱」は堅くつないだ手。この手が離れれば二度と現代には戻れない。過酷な旅が今、始まる。
初野晴さんの本です。
初野さんの作品は、個人的にですが当たり外れがあります。
ハルチカシリーズは好きですが、たまによく分からん・・・と思う作品もあるのです。
その意味で、あまり期待せず読もうと借りてみた訳です。
が、見事に裏切られました。
今回は当たり!面白かったです。
孤児で施設で暮らす勇介。
経済的にも社会的地位的にも安定した生活が送れそうな伯父に引きとられ、やっと安定した生活が送れるかと思われた矢先、伯父の急死。
そこで勇介に残されたのは博物館。
学芸員として働く個性的な大人達。
そして秘密裏に行われていた研究。
タイムトラベル、時間旅行、なんていうと楽しそうなイメージですが、時空を超えて魔女狩りや理不尽な制度が横行する闇の時代が舞台。
暴力的なシーンがかなりリアルでちょっと苦手な人もいるかもしれません。
体は現代、精神だけの時空移動でも受けるダメージは現実。
衰弱しぼろぼろになりながらも、無理難題に立ち向かっていく二人の姿は手に汗握る展開でした。
これ、シリーズ化してもいいと思うんですが・・・(枇杷のお姉さんの事も未解決だし)
どうなんでしょう、初野さん。
(4点)