取調べ中に容疑者が自殺したことへの罪の意識から奥多摩の駐在所の所長へと異動した元エリート刑事。以前にはなかった平穏な日々の中で自らを取り戻せるのかーー
笹本稜平さんの本です。
「春を背負って」で山岳小説を書かれる方というのを知り、日本の山が舞台の他の小説もあればぜひ読んでみたいと思っていました。
今回の舞台は「奥多摩」。
エリート刑事から、奥多摩の駐在所長への異動。
はたから見れば左遷、けれど意外と奥多摩の山歩きにも目覚め、住人達との関係も良好な江波。
左遷の原因となった元上司の横やりがちょいちょい入ってくるものの、信頼できる仲間に助けられながら、山に絡んだ事件を解決していきます。
警察小説としても勿論ですが、何より奥多摩の山々の描写がいいです。
個人的には奥多摩はお洒落山ガール&ボーイばかりで少々気遅れしてしまうので秩父の方が好きなんですけど、奥多摩ならではの水や緑の美しさ、奥多摩湖が広がる山並みと一度は訪れたことのある山の名前も出て来てテンションが上がりました。
江波の人柄もそうですし、駐在を取り巻く面々も個性豊かで憎めないキャラが多いです。
特に犬のプールが賢くて愛嬌たっぷりでめちゃ可愛い!
続編もあるようだったので同時に借りました。
どうでもいい話ですが、表紙イラストが何だかちょっとおどろおどろしさを感じたのは私だけでしょうか。
奥多摩といえば川や綺麗な水のイメージなので、山並みのイラストじゃないというのもあるかもしれませんね。
(4点)