つきあっていた男性からの婚約指輪、一目惚れした女がくれた一冊の本、憧れていた先生にもらった赤いボールペン。大切な人に贈られた物を巡るかけがえのない思い出を綴った、いとしくて泣きたくなるほど切ない七つの恋の物語。
加藤千恵さんの本です。
先日読んだ「ラジオ!ラジオ!ラジオ!」がなかなか好きな感じだったので、早速他の本も借りてみました。
いくえみ綾さんのイラストが素敵。
その表紙のイメージと秀逸なタイトルから、まあ多分恋愛小説なんでしょう・・・と半ば諦めの気持ちで読み始めたのですが(恋愛小説はそんなに得意ではない)・・・
いい意味で期待を裏切られました。
7つの短編集なのですが、単純な恋愛小説集とか思って読まないのは絶対勿体ないと思う、という印象。
一概に「恋愛」とくくってしまっていいのか?
それどころか、ハッピーでもバッドでもない、いうなれば「現状維持」「何も変わらない」「延長線上」という結末を迎え、人によってはもやっとしたり煮え切らない感情に支配されるかもしれないレベルの話が多かったです。
けれどそれは絶望を伴うほどの暗さではない。
決してハッピーな結末ではないけど、現実って実はこんなもんだよね、と。
そう思うほど現実にありそうな話だから、余韻がしみて私には心地良かったです。
それにしても一つ目の母親は・・・ちょっとないよなあ。悲し過ぎるわ。
(4点)