廃工場、廃線、廃校……etc.人けなくうち捨てられた廃墟には、何かの気配が残っている。いつまでも消えることなく、時間を経るほどにむしろそれは強く漂う。人生に疲れたら、うら寂しい場所に行ってみよう。その何かが足下を照らし、背中を押してくれる。閉じこもりOL、家出少年、行きづまった事業主──彼ら彼女らの今を劇的に変化させる6つの物語。
永嶋恵美さんの本です。
そういえば永嶋さん、こういう話も書かれるんですよねーとふと思い出す短編集でした。
どうしても永嶋恵美=イヤミス作家というイメージが強いと思うのですが、暗いテーマの中に見せる光みたいなのを書くとまた秀逸なんですよね。
個人的に、廃校と廃線を舞台にした短編が好みでした。
登場人物が結構さらっと言う割には重いものを背負っていて、もっと暗く書こうと思えば書けたのかもしれませんが、それを敢えてさらりと書くことで重すぎず、けれど最後に見える一筋の光が際立って素敵でした。
メンタルがやられている時に読んだせいか、やたら心に染みましたね。
うん、こういうのも好きです、永嶋さん!
(4点)