失踪した娘を捜し求めるうちに、徐々に“闇の奥”へと遡行していく父。娘は一体どんな人間なのか――。ひとりの少女をめぐる、男たちの狂気の物語。その果てには……。
深町秋生さんの「このミス」大賞受賞作。
映画「渇き。」を既に観ていた後なので、まんま映画のキャスティングで脳内イメージができてしまいましたね。
役的には原作を読んでいても違和感のある人はほとんどいなかったのですが、そういうイメージがつきながら読んでしまうと、もし実写化するとしたら・・・を考えたりしながら読む楽しみが少し半減してしまうのですよね・・・・
さて、映画ですが・・・
とにかく暴力、暴力、暴力、血、血、血・・・ということで、私の最も嫌いなバイオレンス要素満載過ぎる映画だったため、観るのが辛かった記憶があります。
原作があると知り、いつか読んでみたいなと思っていたので早速借りてみる事に。
元刑事の父親が主人公、ということもあるのですが、ハードボイルドというくくりなんですかね?
確かにこういうハードボイルド小説(元刑事とかがやたら多いイメージ・笑)はありますが、この父親がまたどうしようもないくそったれ!!!
娘への仕打ち、元妻への暴力、犯罪行為の数々・・・・もうとりあえず好きになれない(笑)
並行して、加奈子の同級生である男子中学生(3年前)のいじめの描写もなかなかのもので、息つく暇がないくらい読んでいて辛い・・・そしてこの分厚さ・・・・
なのに、何故か惹きつけられるんですよ。何だろうこの感じは。
胸糞悪い!!!もう読みたくない!!と思うのに、止められないこの感じ・・・
深町さん、凄いですねこれは。
ということで、最後まで胸糞悪い!という感想しかありませんでしたが、解説でも触れられていた「好みの作品ではないけれど」印象的である、というような感想がそうそうまさにそれ!と思う感じでした。
自分も選考委員側だとしたら、話としては二度と読みたくないけど・・・小説としては評価したい、というジャッジを下す気がしますよ。
しかし、年内最後がこの本じゃなくて良かったです(笑)
(4点)