No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

ミレニアム3 (下) 眠れる女と狂卓の騎士

イメージ 1
 
 
リスベットは回復しつつあった。ミカエルは様々な罪を着せられた彼女を救うため、仲間を集めて行動を開始する。だが、特別分析班は、班の秘密に関わる者たちの抹殺を始めた。一方ミカエルは病院内のリスベットと密かに連絡を取り、有益な情報を得ようとする。そして、特別分析班の実態を調べる公安警察と手を組み、巨大な陰謀の解明に挑む。やがて始まるリスベットの裁判の行方は?

スティーグ・ラーソンさんの「ミレニアム」シリーズ三部作、とうとう最後の巻を読み終えてしまいました。
 
やばいね、めっちゃ面白かったよ!!!特に三部!
 
リスベットの体が回復すると共に、近づく裁判に向けてミカエルをはじめとした周囲の人間がリスベットの救うべく準備を着々と進めていきます。
 
公判が始まり、アニカがついに反撃に出るところとか、もう清々しいほど!
人間として当たり前に主張できる権利、当然聞き入れられるべきことを聞いてもらえないどころか、人生を狂わされたリスベット。
数々の不正が暴かれ、「班」の崩壊に向けて動いていく、リスベット側につく人達。
 
ついに「班」の摘発、裁判での勝訴と全てのわだかまりがとけたと安心して読んでいると、残り数ページなのにそういえばこいつまだつかまってなかったんだった!と思う奴がでてきます。
この展開だと全てが収束したような気になってしまうほどに素晴らしい展開で(収束した!とすっきりするような)、最後の最後でリスベットの危機が再び襲ってきた時には、ハラハラしてしまいました。
 
もしミカエルを始めとした、リスベットを信じようとする人間が現れなかったら、きっとリスベットはここで殺人を犯していたかもしれない。
けれどそれを思いとどまったということが、リスベットにとって少しでも心が動かされたということに他ならない気がして、いつの間にか彼女が好きになっている自分がいました。
 
この物語の中で、無能者の烙印を押されたリスベット。
読者である自分も、1部の時にはあまり好きになれないキャラクターだなと正直思ってしまいました。
まんまと、そういう型に押し付けられたリスベットを自分もそういう風にしか捉えられなかったというか。
 
しかし、2部からこれが色々な立場にいる人間達の思惑、策略によって作られた偽りのリスベットの姿であり、誰よりも強い意志と行動力、信念を持って立ち向かっていく最強の女であるリスベットが、とにかく格好良いなと思えました。
 
ミカエルに対する思いも、こういう形で帰着。
とてもいい終わり方ですね。
 
それにしてもミカエル・・・・どんだけ女たらしなんだ(笑)
そして何故こんなにモテるんだ!
 
このあとがきでは四部は出るのか、みたいな感じで書いてありましたが、作家が急死し、第四部の草案を元に続編が出ているようですね。
これはまだ文庫化していない??機会があったら読んでみたいけど、やっぱり別の作者が引き継ぐ?となると全然違うものになってしまうんでしょうかね。
 
翻訳ものは翻訳者の手腕が大分影響すると思いますが、ヘレンハルメ美穂さん、岩澤雅利さん訳の本作、原作の面白さが十二分に伝わってきて、かなり期待していいかと。
 
三部作、超大作でしたが、本当に面白かったです。読み終わってしまって淋しい!
 
(5点)