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柘榴パズル

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“あたしは自分の家族が好きだ。こんなこと云うとイタい娘って思われるかもだし、自分でも恥ずかしいヤツとかちょっと思うけど、いかんせん事実だから仕方ない”

優しい祖父と母、しっかりもののイケメンな兄、そして甘ったれの妹に囲まれ、愛情ゆたかな日々を送る19歳の美緒。東京下町、昭和テイストな「山田家」をめぐる謎は、意外な展開を見せて、ひと夏の記憶をかけがえのないものに変えてゆく――。

彩坂美月さんの本です。
 
彩坂さんの作品、ということで「普通の」家族の物語というだけではないだろうと思ってはいたんだけど、さすがに「お母さん」は気付かなかったなあ。文章だけでは完全に騙されました。
 
ほのぼの家族小説の合間に、一家惨殺事件の記事が挟みこまれ、この幸せな家族に起こる不幸を示唆しているかのよう。
 
けれど第一章からこの家族に対する何か、ぬぐいきれないような違和感があって、もしかしたらこの家族は・・・という予想はやっぱり当ったのだけど、この惨殺事件の真相がまさか、という感じでした。
 
血の繋がりって何なんだろう、例え偽物だったとしても、こんな幸せな「家族」があるなら、血のつながりなんていらないって思うのかもしれない。
 
一章ごとに、日常ミステリ的な展開もあり、この人が惨殺事件の犯人?と思わせぶりに登場する謎の青年、そして何処か違和感のある「幸せな家族の物語」。
 
ラストはあっと驚き(けれど、疑いを持って読んでいる場合は衝撃は少ないかも)、そして家族とはと考えさせられる何だか切ないような話でした。
 
影を背負っている人達が集まった「家族」のせいか、どの登場人物も自分好みだったのもあります。
特にお兄ちゃんはかなり良かったですね。
 
最後の最後でそうきたか!とちょっと驚きつつ、こうやって本物の「家族」になっていくのもありなんじゃないかと思えました。
大変自分好みの本でしたね。
(4.5点)