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紅葉街駅前自殺センター

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考え直すチャンスは5回。生と死の意味を問う極限の人間ドラマ! 息子を通り魔に惨殺され、妻とも別れ、生きる気力を喪った男はそのセンターに足を踏み入れた。再三の説得にも意思を曲げず、淡々と自死への手続を終えた最期の夜、一通の手紙が男の理性を激しく揺さぶる――

光本正記さんの本です。
 
第8回新潮エンターテインメント大賞受賞作とのことで、期待の作家さん!と思ったのですが、若くして亡くなっているというのをどなたかのレビューで見つけ、非常に残念です。
結構自分好みだったなあと読んでみて思っただけに、、
 
図書館で何か読む本はないかと物色していてタイトルに呼ばれるように手に取ったものです。
 
国が自殺を支援するセンターを管理しているという設定で、5回の面接を経て、自殺を思いとどまるよう説得されたり色々するんですが、主人公はとにかく生きる気力と言うのを失っていて説得に応じず死を選ぶんです。
 
が、支えてくれた元妻の意外な真相が分かり、ラストで主人公の気持ちに変化が訪れます。
 
バラバラ殺人の話、自殺した兄の話がちょいちょい挟まってくるのは何だろうと思っていたら、ラストの伏線になっています。
ちょっと非現実な展開だったりもしますが、個人的には結構好きです。
 
死からは何も生み出さないと気付く主人公のその後は果たして明るい未来だろうか。
色々想像ができるラストで真相ははっきり書かれていませんが、ぐいぐい引き込まれる作品でした。
(4点)