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だれかのいとしいひと

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転校生じゃないからという理由でふられた女子高生、元カレのアパートに忍び込むフリーライター、親友の恋人とひそかにつきあう病癖のある女の子、誕生日休暇を一人ハワイで過ごすハメになったOL…。どこか不安定で仕事にも恋に対しても不器用な主人公たち。ちょっぴり不幸な男女の恋愛を描いた短篇小説集。


角田光代さんの本です。
 
この本を読んだのは20代前半の頃だったでしょうか。
ハードカバー版には酒井駒子さんの素敵な挿絵もあって、当時の私にはかなり好ましく思う作品ばかりだったので、角田さんの作品の中でもお気に入りの小説でした。
 
何か読む本がないかと物色をしていて、久々にこの本(文庫版)を読んでみる事に。
 
ところが・・・今私は30歳。
良い意味でも悪い意味でも、現実を見過ぎたのかも。
 
以前感じた程心に染みてこなかったのです。
 
勿論当時から好きだった「ジミ、ひまわり、夏のギャング」は好きなのだけれど・・・全体的に主人公に共感できなくなっていることに愕然としました。
 
久々に角田さんの本を読んだ、という点を差し引いても・・・今の私には素直にこれらの話を受け入れられる余裕がないってことなのでしょうか。
 
けれど、当時強く心に残った一文は今読んでみてもやはり心に残りました。
 
「――好きなんて気持ちがなければいい。だれかがだれかを好きになるという気持ちなんてなければ、あたしたちは恋だの愛だの友情だの、そんなものを何ひとつ知らないこどもみたいに、いつまでもひっついてじゃれあって暮らしていけるのに」
(3.5点)