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西の善き魔女6 金の糸紡げば

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もうすぐ8歳になるフィリエルは、父親のディー博士が研究に没頭しているため、お隣に住むホーリー夫妻と暮らしていた。ある日ホーリーさんが連れ帰ったのは、痩せ細った宿なし子。奇妙な数列をつぶやくばかりのその少年を家に置くことにおかみさんは反対するが、ディー博士はなぜかその子に興味を示し、フィリエルを落ち着かない気持ちにさせた―。フィリエルとルーンの運命的な出会いを描く、傑作ファンタジー外伝!


荻原規子さんの「西の善き魔女」シリーズ第六弾。
 
続刊発売が待ち遠しかったです。
一度読んではいるけれど大好きなシリーズ。
 
前巻で本編は終了したけれど気になる話は沢山あって、その中でフィリエルがルーンと初めて出会った幼き日の出来ごとが語られる本巻です。
 
ルーンの過去については本編でも触れられている所ではあるけれど、それを敢えて深く語られてこなかった部分でもあります。
 
幼いルーンの異常な怯えのシーン(数字の羅列を呟き続ける逃げ)、人の殺し方(ナイフで刺す方法)にやけに詳しいところ、元の場所へ戻されてしまうかもしれないという恐怖から叫びが止まらないシーン・・・それだけでどれだけ壮絶な過去を送ってきたのかが想像できることがまた切なく。
 
フィリエルの生い立ちは本編で知っているせいもあると思うけど、父親である博士との微妙な距離感に悩む年頃であったり、惜しみない愛情で育ててくれたホーリー家のおかみさん、だんなさんの愛が胸を苦しくさせます。
 
ルーンにとっては出会った瞬間からフィリエルが光であり、希望であり、生きる意味でもあったのですね。
 
愛おしいものを包むような・・・何だかとても晴れやかな気分になる一冊でした。
大好きです。
(4.5点)