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風待ちのひと

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心の風邪”で休職中の男と、家族を亡くした傷を抱える女。海辺の町で、ふたりは出会ったー。心にさわやかな風が吹きぬける、愛と再生の物語。


伊吹有喜さんの本です。
 
この作品がデビュー作なのですね。
やはりとても読みやすい文章と優しい感じが好みだなあ。
 
プロローグの不思議な「ペコちゃん」の噂。
どんな展開になるのかと思いきや・・・何だか10代の恋を見ているような、淡くて切ない大人の恋物語でした。
 
喜美子が、39歳という年齢ながら自分を学がなく、おばちゃんと卑下する冒頭から、だんだんと哲司を大切な存在と気付いていくうちに、しおらしくなっていって、その過程が何とも切ないのです。
可愛らしいとも思えるし、自分がどれだけ釣り合わないかと意識して、距離を置こうとして後悔して・・・。
 
また、当初は喜美子を付き離していた哲司が、本当に大切な存在と気付いていく過程・・・
 
前半の雰囲気と後半の雰囲気は全然違っていますが、これを単なる不倫の話、とは言えない。
むしろ恋愛小説とくくってしまうのも勿体ないような感じです。
 
うん、とても素敵な話でした。
(4点)