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ミッドナイト・バス

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東京での過酷な仕事を辞め、故郷の新潟で深夜バスの運転手をしている利一。
ある夜、彼が運転するバスに乗ってきたのは、十六年前に別れた妻だった――。
突然の離婚で一度ばらばらになった家族は、
今、それぞれが問題を抱えて故郷に集まってくる。
全員がもう一度前に進むために、利一はどうすればいいのか―


伊吹有喜さんの本です。
 
四十九日のレシピ」「なでし子物語」ときて、本作。
やはり泣ける。
 
伊吹さん、家族小説を書かせたら天下一品ですね。
 
何処か物悲しいものを抱えたバラバラになりかけた家族。
付き合っている女性との新たな一歩を踏み出そうと決意した日、東京で勤めていた息子が突然実家に帰ってきた。
そして頻繁に夢を見るようになった元妻との偶然の再会。
本業より趣味で始めた活動が順調で宙ぶらりんな娘。結婚するつもりのようだが・・・
 
父も母も、息子も娘にも、それぞれ抱えている問題や悩みがあって、皆不器用で、すれ違って・・・それでも前を向こうとしていく姿が何だか涙腺を誘うのです。
 
また父の現在の彼女の健気さが何だか泣けます。
 
最終的に家族は別々の道を進んで行く事になるけれど、明るい光が見えてくるラストに感嘆のため息が出てしまうようでした。
 
伊吹さんの小説は、上手い言葉で表現できないけれど・・・美しくて儚い。
良作。
(4.5点)