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鏡よ、鏡

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莉南と英理子は化粧品会社の美容部員。
愛想がよく、コミュニケーション力に長けた莉南。自分の価値観を優先し、上っ面の付き合いを嫌う英理子。
対照的な二人は自分にないものを持った相手に惹かれ、親交を深める。
だがあることが原因で会社側と対立する英理子。そのとき莉南は――。
現代を生きる女性二人の友情と決断の物語。


飛鳥井千砂さんの本です。
 
何とも言えない余韻と吸引力のある話でした。
育ちも考え方も好みも鏡に映したかのように真逆の二人。
最初は反発しあう二人も、ひょんなきっかけで急速に友情を深めていく――
 
自分とはタイプは違うものの、なんだろう・・・この正反対過ぎる双方の気持ちや考え方に共感できる部分もやっぱりあって・・・
器用に立ちまわっているようで、実は驚く程に不器用なんだろうな。
 
強そうに見えて実は弱い部分もあったり・・・
 
二人が正反対の道を歩むと決めてからの後半はもうページをめくる手が止まらなかったです。
 
多分この中で一番普通なのは同期で同じ職場の美人の子なんだろうな。
英理子の勝手な行動を迷惑がって(ドン引き?)しまうところとか。
英理子なりにその子の事を想ったうえでの行動なんだというのが読み手には伝わるから、何だかハラハラしてしまったり・・・・。
 
莉南の故郷の良き相談相手の男の子がとても大人だなと思ったなあ。
決して恋愛関係に成りえない相手、という距離感がそうさせるのかもしれないけれど・・・。
 
最近の飛鳥井さんの作風はダークな感じで、前作はちょっと違う方向にいってしまったかな?と思っていたのですが、本作はそれが良いように作用して不思議な余韻を残す良作になっていました。
 
うん、結構好きです。こういう話。
何が起こるという訳ではないんだけれどね。最後に光が見えてほっとしました。
(4.5点)