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ピンクの神様

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年齢も職業も性格もバラバラの女性たちが主人公の7つの物語。共通点は、みな周囲の同性との関係に悩んでいるということ。この本は、ちょっと不器用な人、人間関係に悩んだことがある人たちにとって、きっと心優しい“女友達”になってくれる。


魚住直子さんの本です。
 
魚住さんといえば、児童小説を書かれる方というイメージ。
しかし本作は一般向けに書かれたもののようです。
 
何作か読んできましたが、魚住さんの作品、私は好きなんですよね。
淡々としていて、じわじわと胸がえぐられるような不穏な感じを見せつつ、しっかり前向きに終わる感じの安心感。
 
今回も「いるいるこういう人!」という厄介な人間関係を織り交ぜながら、絶妙にリンクする登場人物たち。
 
特に「卒業」は女性消防士小説として一冊の本にしても良いのではないかという完成度。
 
表題作の「ピンクの神様」の思春期の女の子特融の気持ちの不安定さを丁寧に描いているところだとか(そこはさすが児童書向けの本をたくさん書かれてきた魚住さんらしい)、「みどりの部屋」の職場の人間関係の面倒が凄くリアルだなあという感じとか、「ベランダからキス」の袋小路に入り込んでどうにもならない!と思わせてのあの光あるラストは秀逸でした。
 
しかし、「魔法の時間」・・・皆の靴が南向きだったということは・・・二人の靴は北向きだったということな訳で・・・とブラックな方向で考えてしまったのですが、そこは魚住さんらしくさっぱりとした締め方でしたね。
 
久しぶりに読んだけれど一話目からとても読みやすく、すんなりと入っていける良作でした。
(4.5点)