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向かい風で飛べ!

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完全アウェーの転校生、さつき。スキージャンプの天才美少女、理子との出会いが、孤独で憂鬱な日々を塗り変えていく―


乾ルカさんの本です。
 
いつもの乾さんのイメージを180度覆すスポーツ青春小説。
冬季オリンピックを迎える今だからこそ、ぜひ読んでほしいかも。
 
乾さん、元々読みやすい文章を書かれる方なので、こういうのも全然ありですね。違和感がなかったです。
青春スポーツものは初めてだと思いますが、中学生の多感な年ごろ故の葛藤やちっぽけだけど当時はバカみたいに悩んでしまうそういった気持ちも丁寧に書かれていました。
 
欲をいうならば、さつきメインの話かと思いきや、完全にオリンピック出場も夢ではないと評される天才美少女の理子サイドの話に移行していって、さつきが脇役になってしまったことでしょうか。
 
誘われて自分も始めてみる→誘ってくれた才能のある友人が突然の怪我であきらめざるをえなくなる→主人公が頑張る、みたいな展開を想像してしまったのですが、違った意味で期待を裏切ってくれたので良かったのかな。
 
挫折を知らない人と、挫折を知り、そのスランプを乗り越えた人、どちらが強いか。
一目瞭然、挫折を乗り越えた人ですよね。
 
子供の頃から天才ともてはやされ、才能を開花させどんどん実力を伸ばしてきた人が、突然のスランプで思うように記憶が伸びなくなる。手のひらを返すようにマスコミは冷たく、自分自身もそのスランプから抜け出せないジレンマに悩まされる・・・。
 
どのスポーツに限らず、少女時代は怖いもの知らずで記録がぐんぐん伸びて成果を出せても、大人の体つきになり、年齢を重ねるごとに記録が伸びなくなってしまう選手っていますよね・・・。
 
特にフィギュアスケートだけは見ているので、なんだかリアルに感じられました。
 
スポーツもの、と分けてしまうとちょっとボリュームが足りないと物足りなさもありますが、青春ものと考えればなかなか楽しめるかも。
個人的に、良い方向に変わっていったさつきのお母さんが好きです。
(4点)