No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

彼女は存在しない

イメージ 1
 
平凡だが幸せな生活を謳歌していた香奈子の日常は、恋人・貴治がある日突然、何者かに殺されたのを契機に狂い始める…。同じ頃妹の度重なる異常行動を目撃し、多重人格の疑いを強めていた根本。次々と発生する凄惨な事件が香奈子と根本を結びつけていく。その出会いが意味したものは…。


浦賀和宏さんの本です。
 
書店で驚愕のラスト!みたいなPOPとともに激オシしていたので、気になっていた本。
予約してようやく読むことができたのですが・・・・・
 
久しぶりに、読み始めて早々「あ、読みにくい。この人あまり文章うまくないな」という印象を受けてしまいました。
ここ最近読んでいる新人作家さんの本でさえ、読みにくさをあまり感じないというのに。
 
そして発売当初が2001年ということもあるのですが、コジコジやポケベルや携帯電話の描写が時代を感じますね。
 
それにしても・・・・なんだろう・・・
この強引な展開は。
 
何となくこの人がこうなんだろうな、というのも途中で分かりますし、大方予想していた通りの結末ではありましたが、種明かしされてもなんでこうしっくりこない感が残るんだろう。
 
文章の読みにくさと、構成や細部の甘さが目立ち、せっかくのどんでん返しのラストも「???」と疑問ばかりが浮かぶのでした。
 
そしてもうこの手の過去のトラウマにより云々は・・・あまりにも小説の中ではありきたりの展開ですね。
それでもそこをうまく書いている小説家はここ最近たくさん出てきましたから、余計に荒削りさが際立ってしまった気がします。
この展開だったら、同じメフィスト賞出身者の辻村深月さんの「子どもたちは夜と遊ぶ」の方がかなりしっかり書き込まれていておすすめです。
 
この作家さんを責めるわけではなく、過剰な書店でのPOP売りが期待値を上げ過ぎたのだと思いますね。
書店POPで騙されたのはもう何度目だろうか・・・。
 
私にはちょっと相性が悪い作品でした。
(3.5点)