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笑うハーレキン

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経営していた会社も家族も失い、川辺の空き地に住みついた家具職人・東口。仲間と肩を寄せ合い、日銭を嫁ぐ生活。そこへ飛び込んでくる、謎の女・奈々恵。川底の哀しい人影。そして、奇妙な修理依頼と、迫りくる危険―!


道尾秀介さんの本です。
 
道尾さんの最近の作品はミステリ傾向ではないので、ミステリ好きな私としてはちょっと寂しくもあります。
今回はそんな私でも楽しめる、ちょっとしたどんでん返しも含んだ話でした。
 
道尾作品にある不穏な展開に慣れている人が見ると、ついまさか・・・!?と不安に思う描写があるのですが(冒頭から)、どれも驚く程不穏ではない展開が待っていて、気が抜けるというか、ちょっと笑えます。
 
登場人物も軒並み私には好感が持てまして、それが単純に面白いと思えた理由かもしれませんね。
 
レビューでは最後のスピード感ある展開に至るまでの前置きが長いとか、飽きるとか書かれているものもありましたが、私は気になりませんでした。
個人的には奈々恵の正体が明らかになっても、あまり奈々恵の事が分からずじまいだったのは残念でしたが。
 
後半の妖しげな所からの仕事の依頼があった点も、その依頼主サイドでまたダークな感じのストーリーが書けそうな濃ゆい感じの妖しさがあったので(笑)、もう少し続きが読みたい気もしています。
 
全体的に設定はちょっと重いけども、前向きな終わり方で、不穏な予感はちゃんと外れるので割と安心して読めました。
こういう話、好きです。
 
ちなみにハーレキンとは道化師の事だそうです。あまり馴染みのない言葉なので何だろうと思っていたらそんな意味なんですねー。
(4.5点)