大学1年生の晴希は、道場の長男として幼い頃から柔道を続けてきた。だが、負けなしの姉と比べて自分の限界を悟っていた晴希は、怪我をきっかけに柔道部を退部する。同時期に部をやめた幼なじみの一馬に誘われ、大学チア初の男子チームを結成することになるが、集まってきたのは個性的すぎるメンバーで…。チアリーディングに青春をかける男子たちの、笑いと汗と涙の感動ストーリー。
朝井リョウさんの本です。
2作目である本作が文庫化すると聞き、早速購入してしまいました。
再読し、やはり良い!と再認識。
今時の若者達のリアル、なんて言葉で片付けたら伝わらない気がするけど、テンポのよい掛け合いと読みやすさは健在。
その中で朝井さんは「スポーツ」小説を第二作目に選んだ訳です。
これが、全くありふれた話に終わっていない事がとにかく凄い。
これだけの登場人物達がいて、そのどれをも主役として描いている。
勿論、中にはあまり目立たないメンバーもいるけれども、自分が彼らのチアを見ているような気分にさせられるのだから脱帽としか言いようがありません。
ラストの章、ノートに書かれたメンバー達の本音と現在の姿がクロスし、目頭がじんわりと熱くなります。
読み終えて、「もう終わりなの!?続きが読みたい!」と思ってしまうほど、余韻が冷めませんでした。
「何者」とは全く方向性が違うこの小説。ぜひとも読んで欲しいです。
(5点)