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東雲の道(しののめのみち)

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「断ち切れ、断ち切れ、過去の一切を断ち切って生きろ」宿命に抗う男たちの悲痛な叫び。同心木暮信次郎、商人遠野屋清之介。屍体に隠された瑠璃石が、因縁の男二人を突き動かす!あさのあつこが放つ時代小説に目眩がする。


あさのあつこさんの本です。
 
弥勒」シリーズ第四弾ということで、私はこのシリーズがどうにも自分に合わないようで(レビューを見ると絶賛されているので、単に好みの問題だと思いますが)、あまり期待せずに読み始めました。
 
今回はなんでしょう、
意外とすっと入って来ましたね。
それは、伊佐治の女房のおふじの語りから始まったせいでしょうか?
 
あさのさんの時代小説は、女性が主人公、語り手の話の方が私は好みで、すぐに物語の世界に入って行けるんです。そのせいもあってか、小暮や遠野屋が相変わらず腹の探り合いのような問答をするにあたっても、そんなに嫌みなく読む事ができました。
 
ただ残念なのは、江戸を出て一世一代の大勝負に出た遠野屋と因縁の過去との決別ともいえるクライマックスが、あまりにも短くあっさり終わってしまったことでしょうか。
 
ついに過去を小暮や伊佐治に明かした遠野屋の決意を、あんなにあっさり終わらせてしまうのはちょっと拍子抜けです。
もうちょっとページ数を増やして書いても良かったんじゃないかなあと。
 
それでも、今までのシリーズが全然楽しめなかった事を考えるとなかなか楽しめたので良かったです。
過去の作品も改めて読み返したいかも。
(4点)