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妖国(ようこく)の剣士

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幼い頃に弟を拐われた黒川夏野は、女だてらに妖かしと戦う剣の腕を磨いていた。そして安良国の都・晃瑠への一人旅の途中、社に封印されていた妖かしの片目を取り込んでしまう。一方、幼児誘拐が頻発する晃瑠に、奇妙な二人組が現れる。一人は安良国最強の剣士と謳われる鷺沢恭一郎。もう一人は片言しか話せない奇妙な少年・蒼太。弟の行方を探す夏野が、妖かしに追われる二人と出会い、物語が始まる・・・・・・。


知野みさきさんの本です。
 
デビュー作の「鈴の神さま」がとても面白かったので、図書館でこの本を見つけてわくわくしながら読み始めました。
ちょっと設定が分かりづらいなあ、なんて思っていたのは最初だけ。
 
気付けばぐいぐい物語に惹きこまれていました。
 
前作では見た目が5歳児の男の子にしか見えない鈴の神さまが出て来ましたが、今度は人語が苦手な見た目は少年の妖かしが登場します。
 
この妖かしが少年というより、人語が苦手故に片言でしか喋る事ができないので、小説を読んでいる分ではもっと幼く感じます。でも実は、人間よりも長く長く生きている訳です。
 
物語は少年剣士の姿をしている17歳の夏野。
女だてらに剣を操る武家の子。
 
幼い頃に誘拐され行方知れずになっている弟を探す一人旅の道中、封印されていた妖かしの片眼を自身の片目に取りこんでしまう。
弟を探すため一人旅を続ける中、片目に導かれるまま出会った少年を切ってしまう夏野。
そこで出会った少年と共に暮らす恭一郎。
恭一郎は昔、妖かしを妻にめとり暮らしていた過去があったのだが――


時代設定は江戸時代?のようで、しかしもっと遠い昔のような感じもあり、ファンタジーを含んだ壮大なストーリーが面白いです。
 
こういう系の話、実は結構好きなんです。
その中に、ちょっと淡い恋なんてものも入ってくるとたまらないです。
 
たどたどしい言葉遣いながらも、恭一郎と通じる妖しの蒼太が何だか微笑ましい。
恭一郎と夏野は将来的に結ばれる事はないのかしら?
夏野の初恋が実る日はくるのかな?
夏野に想いを寄せる由岐彦の不器用さももどかしい!
 
続編を書こうと思えば書けそうな終わり方。
とても面白かったです。
 
デビュー作もかなり私好みですが、作風の違うこちらも好き!
ぜひぜひ。
(4.5点)