No-music.No-life

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終わらない歌

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「覚えてる? 今、あのときの未来だよ」
高校二年の春、卒業生を送る会の合唱で、未来への願いを託した調べに心を通わせあったクラスメイト。
御木元玲、原千夏、中溝早希、佐々木ひかり、里中佳子、東条あや。三年の月日が流れ、少女たちは二十歳になった。
玲は音大の声楽科に進んだが、自分の歌に価値を見いだせなくて、もがいている。
劇団でミュージカル女優をめざす千夏が舞台の真ん中に立てる日は、もう少し先みたいだ……。
ぐるぐる、ぐるぐる。道に迷っている彼女たちを待つのは、どんな明日なんだろう――。


宮下奈都さんの『よろこびの歌』続編。

 
続編と知らずに読み始めて、何処かで読んだ事があるような・・・と思っていたら続編だったのですね!
 
 
高校生から3年後、とは言っても短大・大学などの学生であったり、新社会人であったりとまだまだ若い主人公達。
どちらかと言うと、同い年の人間からの視点から見た物語「コスモス」が一番読みやすかったですね。
 
ただ、今回特に千夏のキャラクターに救われました。
劇団で女優を目指す千夏。
何処までも前向きで貪欲で、輝いている。
 
ある人にとっては上を目指せる成功できる人間と思われていても、そういう人間達が集まった所では一番でも何でもない。
何処かで何かの悩みや不安を抱えていて、それでも前を向いて生きていくこと。
それだけの事が、とてつもなく難しい。
 
等身大、なんて言ったらありきたりな言葉かもしれないけど、そんな女の子達の姿に励まされる思いでした。
 
ブルーハーツの歌がタイトルを見ただけですぐに出てこなくて悔しかったので、YouTubeで探してしまいました(笑)
これはぜひ歌も知っていたうえで読むともっと楽しめると思います。
 
ぎゅっと苦しい気持ちになるのに、最後にはじわあっと余韻が広がるので、宮下さんの作品が好きです。
読み終えてとても爽やかな気持ちになりました。
(4.5点)