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はるがいったら(文庫版・再読)

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寝たきりの愛犬と迷える姉弟の青春物語
両親が離婚し離れて暮らす姉弟。完璧主義の姉・園は不毛な恋愛にはまり、体が弱く冷めた性格の弟・行は進路に悩んでいる。寝たきりの愛犬・ハルを間に揺れる二人。第18回小説すばる新人賞受賞作。


飛鳥井千砂さんの本です。
 
実は私と飛鳥井さんの出会いはこのデビュー作でした。
今は「タイニー・タイニー・ハッピー」などが王様のブランチで紹介されたり知名度も上がってきていると思いますが、この頃から好きな作家の一人でした。
 
読む本が手元になくて、久しぶりに再読。
 
デビュー作だけど十分なクオリティ。
園と行の足して二で割ったら丁度良いのにーと思う性格の違いも個性があってとても良い。
 
園サイドと行サイドで物語が進行して行くので、姉と弟から見た弟、両親、他人に対する見識の違いがまた興味深いです。
 
園みたいな子がいたら大変だよなあーと思って読んだ三回目。
なんか・・・自分に似てる部分が凄いある・・・・
園ほど完ぺき主義ではないはずだけど・・・会社の同僚とは適度に距離を置いてプライベートでも仲良くしないようにしているとか、相手の悪いところばかり見るとか・・・・
だからかな、園があまり嫌いになれないのよ。
 
劇的な事が起こる訳ではないけれど、愛犬ハルを巡る悩める姉弟の話、でしょうか。
ハルはひっそりと、だけどしっかり二人を見守るように存在しています。
 
ラストの赤の他人同士が何故か集合して一緒に行動する事になった、という場面が何だかほっとするから好きです。
文庫版はいくえみ綾さんのイラストですが、最新刊の文庫もいくえみさんっぽい装丁だったような。
買おうか検討中です。
(4.5点)