五年ぶりに、別れた妻・通子からかかってきた電話は、ただならぬ気配に満ちていた。
島田荘司さんの「吉敷竹史シリーズ」第三弾。
独身としかかれていなかった吉敷には、実は離婚歴が?!
と思ったら、ついに出てきた通子!!
ここで来たか―!と驚きながら、まさかの事件が起こり、驚きの連続。
1、2とシリーズを読んで来て、スマートな捜査で鮮やかに事件の真相に迫る吉敷の姿しか知らないせいか、通子の事となると理性もぶっ飛んで突っ走る、人間らしい吉敷の姿が意外でもあり、急激に好ましく思えるようになりました(元々好ましい人物ではありますが)。
それにしても、通子の過去が明かされ、「龍臥亭事件」でもあったあの陰惨な殺人事件にも遭遇する、何だか「不幸を呼び寄せる幸少なき女」のイメージがどんどん確立されていきました。
お互いまだ好き合っているのに別れるに至った理由も何とももどかしく・・・
しかし「龍臥亭事件」の段階では通子は吉敷を旦那と言っていなかったか?と復縁を期待しながら、ラストが胸に迫りました。
トリックは少々納得いかない感じもしたので(結構強引で・・・)、それは抜きにしても、吉敷と通子の物語として読むには十分満足の本作でした。
(4点)