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夏服パースペクティヴ 樋口真由''消失''シリーズ 少女洋弓銃殺人事件

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私立都筑台高校2年生にして、弱小映研部長の遊佐渉は、新進気鋭の女性映像作家・真壁梓が、夏休みを利用して行うビデオクリップ制作のスタッフとして、撮影合宿に参加することに。そこには、美貌の1年生樋口真由の姿もあった。かくして、廃校となった中学校の校舎を改装して作られた山の中のスタジオでの撮影合宿が始まる。しかし、キャストとして参加していた女子生徒の一人が撮影中に突如倒れ込む…。なんとその生徒の胸には、クロスボウの矢が深々と突き刺さっていた!?真由は残された映像をもとに超絶推理を始めるが、合宿は凄惨な殺人劇へと変貌してゆく―。


長沢樹さんの本です。
 
デビュー作「消失グラデーション」が、つまらない訳ではないけど好みではない、という何となくもやもやした感覚を抱いたため、続編があったとしてもきっと読む事はないだろうと思っておりました。
 
案の定書店で続編「消失シリーズ」と銘打たれて発売されているのをみても、読まないだろうなあと思っていたのですけどね。
地元図書館の新着図書に置いてあり、何となく手にしてしまった私でした。
 
樋口真由が軸になっているものの、語り手は樋口ではないところも特徴でしょうか。
特に前作では女癖の悪い主人公がどうにも好きになれず、登場人物の誰もに嫌悪感しか抱けないくらいキャラクターに魅力を感じられなかったのですが、今回の主人公の男の子はまあ許せるかなあと言う感じ。
 
何だか全然覚えていないんですけど、この主人公って前作で出ていましたっけ?
完全に記憶にないのですが。。。
 
しかしですね、やっぱり登場人物のキャラクターに魅力がない(というか自分好みではない)のは変わらなかったものの、前作より格段に面白くなっている気がしました。
読みにくさはなくて、虚構と現実という世界感が交差して、何が現実で何が嘘なのか分からなくなってくる感じは凄く上手かったと思います。
実際に殺人事件が起こり、根底にある過去の事件が軸になり、事件の真相が暴かれていく展開はスリリングでとても面白かったですね。
 
多分、私長沢さんの作品が肌に合わないんだと思います。
だけど決して面白くないという訳ではないんですよ。
ページをめくる手は止まりませんでしたし、今回は割と楽しめましたし。
 
好みの問題なんでしょうねえ。
この主人公が語り手だったら読めるかなあという感じですが、今回は樋口が完全に脇役になっている感じで(後半は謎解き役なので目立ちますが)、色々抱えているのだろうなという感じも中途半端にしか描かれていなくて気になってしまうところもありました。
 
また、クロスボウ=ボウガンと理解できる人ってどれくらいいるのでしょうかね?
すんなりとクロスボウで納得している登場人物達に違和感を覚えつつ・・・。
 
色々文句は言いましたが、今回は読みごたえも十分でなかなか楽しめたので前作はちょっと・・・と思った方もぜひとも読んでみてください。
(4点)