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ルーズヴェルト・ゲーム

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中堅メーカー・青島製作所の野球部はかつては名門と呼ばれたが、ここのところすっかり成績低迷中。会社の経営が傾き、リストラの敢行、監督の交代、廃部の危機・・・・・・。野球部の存続をめぐって、社長の細川や幹部たちが苦悩するなか、青島製作所の開発力と技術力に目をつけたライバル企業・ミツワ電器が「合併」を提案してくる。
青島製作所は、そして野球部は、この難局をどう乗り切るのか?
負けられない勝負に挑む男たちの感動の物語。


池井戸潤さんの本です。
 
久しぶりに池井戸さんの本を読んだなあ。
今回も会社経営のシビアさ、中小企業の弱点、容赦なく押し寄せる不況の煽りなど、リアルに迫ります。
 
自分は中小企業にしか勤めた事がないですし、不況のあおりを受けて解雇された経験もありますし、解雇通告されるときのあの切なさとか、思い出しましたね。
 
自分の場合は事業所自体が閉鎖してしまったのでまだ仕方ないとしても、勤務態度や欠勤率、仕事の向上力などで判断されたら、今の会社でも自分はどうなるのか・・・と色々考えさせられました。
 
その中で、高校時代の不祥事から野球とは縁を切っていた元エースの沖原の苦悩、派遣で3年間勤めあげたら正社員になれるのでは、とか。母親が家計を支えている実家に仕送りをするために、いつ切られるか分からない派遣で働き続ける不安とか・・・凄いリアルでしたね。
 
社会人野球とは全く興味がないし詳しくない分野でしたが(高校野球しか興味がないため)、会社経営が行き詰った時、まず最初に不要と切り捨てられてしまう立ち位置にいるという不安定さ。
だけど社員が一丸となって応援に行ったり、野球に興味のなかった役員達がその魅力に気付いていく過程で、結果は残念でしたが、そこは池井戸さん。
やり手の志眞社長がエピローグで見せてくれました。
こんな女社長がいたらついていきたい!
 
自分の保身しか考えない役員連中ばかりが多い中、この作品に出てくる青島製作所の役員達が社員を思う気持ち、会社を立て直そうと奮起する所は本当に格好良かったです。
 
お決まりのハッピーエンドではあるかもしれませんが、ここまでリアルな厳しい現実を書いているのだから、せめて小説の世界では前向きな展開が丁度良いと思います。
やっぱり池井戸さんの小説、好きだなあ。
(4点)