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ばんば憑き

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湯治旅の帰途、若夫婦が雨で足止めになった老女との相部屋を引き受けた。不機嫌な若妻をよそに、世話を焼く婿養子の夫に老女が語り出したのは、五十年前の忌まわしい出来事だった…。表題作「ばんば憑き」のほか、『日暮らし』の政五郎親分とおでこが謎を解き明かす「お文の影」、『あんじゅう』の青野利一郎と悪童三人組が奮闘する「討債鬼」など、宮部みゆきの江戸物を縦断する傑作全六編。


宮部みゆきさんの本です。
 
単純に「面白い」とは言えない話。
というのも、人間の犯した罪が摩訶不思議な霊であるとか、たたりであるとかに変わって不思議な出来事が起こるので、必ずしも良い話ばかりではないから。
 
勿論、本全体として見たら読んで良かったと思える良作。
 
だけど同時に、人間が犯してしまった間違いがこのような形で現れるという物悲しさというか、やりきれなさが漂います。
大人たちが犯したむご過ぎる間違いとは対象的に、登場する少年少女達の無邪気さ、おしゃまさに癒されました。
また、「おでこ」が出てきたり、何だか何処かで聞いた事があるような・・・という名前やら名称が出て来ているような、と思ったのは気のせいではなく、他作品とのリンクがあったりして、嬉しくなりました。
 
唯一アンソロジーで既に読んでいた「博打眼」以外は初読。
 
「博打眼」「討債鬼」「野槌の墓」が面白かったです。
 
猫のたまさんが人間の姿になってしなやかな動きをするのが格好良かったなあ。
(4点)