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僕らのごはんは明日で待ってる

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葉山イエス
エスはあだ名。何に対しても心が広い、キリストのような奴だから。でも実際は、人に対して無関心だっただけ。趣味(?)は黄昏と自分探し。上村小春。
唐揚は苦手だけど、ケンタッキーは好き。ポカリ派。自分をしっかり持っていて、決めた事は覆さない。でも、おばあちゃんの言葉は日本国憲法より重い。
流されるがままの男子と、頑なまでに我が道を進む女子。ちっともイマドキでもなければ情熱的でもない高校生の二人は、体育祭の競技“米袋ジャンプ”がきっかけで付き合う事になった。大学に行っても、“恋愛”と言って良いのか分からない淡々とした関係を続ける二人だが、一つだけ自信を持って言えることがある。それは、互いを必用としている事。
でも人生は、いつも思わぬ方向に進んで行き……。


瀬尾まいこさんの本です。
 
瀬尾さんの久しぶりの新刊。
タイトルにも興味を覚えて気になっていたのですが、丁度返却があったところに出くわして借りてきました。
 
いやー良かったです。
元々瀬尾さんの描く物語は全体的に優しさで溢れていて、根っからの悪人なんていなくて、女子が凄く可愛いという印象なんですけど、ご多分に漏れず本作もそう感じました。
 
連作短編とは知らずに読んでいて、一話毎に別の主人公になるのかな?と一つ目の話を読み終えた時に残念だーと思っていたら、この二人の高校生編から大人になった時の話までが収録されていました。
 
二人が付き合うきっかけから、付き合って順調に行っている時、険悪になって距離ができてしまう時、そして最後のエピソードへ。
 
ダメになる時はやっぱり長く付き合ってもダメだったりするだろうし、短い付き合いでも結婚して末永く続くカップルだって沢山いるのでしょう。
 
始まって、順調に時が過ぎていって、ダメになって、最終的にお互いの存在を認めていって、と人生とはこういうものなのだろうなあと思うような、壮大な気持ちになります。
 
二人の独特な会話が面白い。
そして、お互いがお互いの大切さに気付いて行って、ああ私もこういう関係が築けたら幸せだなあとうらやましくなりました。
 
後半切ない展開になりますが、読み終えて凄く満足しました。
やっぱり瀬尾さんの作品、大好きだなあと実感した本作でした。
(5点)