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死ねばいいのに

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死んだ女のことを教えてくれないか―。無礼な男が突然現われ、私に尋ねる。私は一体、彼女の何を知っていたというのだろう。問いかけられた言葉に、暴かれる嘘、晒け出される業、浮かび上がる剥き出しの真実…。人は何のために生きるのか。この世に不思議なことなど何もない。ただ一つあるとすれば、それは―。


京極夏彦さんの本です。
 
はっきり言って、京極夏彦さんの作品は苦手です。
しかしながら、このタイトルを見た時、絶対読んでみようと思っていたのです。
 
「死ねばいいのに」
 
凄いタイトル。このインパクトは半端じゃない。
 
通勤電車の中、人ごみを歩いている時、仕事をしている時の人間関係などなど。
凄く些細なきっかけで、私はすぐにイラッとする。
その時心の中で、相手に毒づく言葉。
それが、
 
「死ねばいいのに」。
 
そんな私だから、恐る恐るこの本を手にとってみたのであります。
 
想像していた内容とは違っていました。
が、とてもよくできている。
 
殺人事件に巻き込まれて死んでしまった一人の女性の関係者にその女性の事を聞いて回る若い男。
その男は女性の「知り合い」であると言い、女性に関わった職場の上司、恋人、隣人、親の本心がこれでもかというくらいえぐられて、痛いほど。
 
学がない、定職にもついていないという男の不躾過ぎる質問に自分のことばかり喋る関係者。
 
結局女性はどういう人間だったのか?
分からぬままページは進む。
 
そして、犯人が。
 
感情を持っていないかのように淡々としているのに、人の痛いところ、本質をズバリついてくる男の得体の知れなさが恐いと思うのに、不思議と嫌な感じがしないのが変な感じ。
 
京極さんのイメージ(文章がくどくて長い印象)を覆す会話の多い文章も読みにくさを軽減。
 
一度読んでみては?
(4点)