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青空の卵

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僕、坂木司には一風変わった友人がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちから心を閉ざしがちな彼を外の世界に連れ出そうと、僕は日夜頑張っている。料理が趣味の鳥井の食卓で、僕は身近に起こった様々な謎を問いかける。鋭い観察眼を持つ鳥井は、どんな真実を描き出すのか。謎を解き、人と出会うことによってもたらされる二人の成長を描いた感動の著者デビュー作。


坂木司さんのデビュー作です。
 
坂木さんを知ったのは、「和菓子のアン」からで、かなり遅い方だと思うのですが、デビュー作でも読みやすさは変わりませんでした。
ただ、「美味しそうな食べ物が出てくる」「働いている主人公が多い」「コミカルで時々切ない」という印象が若干違ったのは、意外でした。
 
ひきこもりの鳥井(完全なる引きこもりではない)が作る料理の美味しそうな事!
そんなところはいつもの坂木さんだなあという感じなのですが、主人公の坂木が友人の鳥井のために自分の人生を投げ捨ててでも力になろうとしている過剰なほどの過保護さ、であるとか、普段はべらぼうに口が悪くて態度もデカイ鳥井が、ひと度過去の傷に触れるような出来事に遭遇すると、心を閉ざして精神のバランスを崩す弱い部分も見せたりする。
そんな癖のある登場人物達と、日常の謎的ミステリが繰り広げられます。
 
探偵役は鳥井、ワトソン役は坂木。
単純に謎解きミステリの話とくくれない、二人の信頼関係が良いです。
 
ちょっとしたらBLにもなってしまいそうな過保護っぷりだけど、そうならないところが良いです。
この話はシリーズ三部作のようで、鳥井の過去についても触れられている様子。
ぜひ他のシリーズも読んでみたいです。
(4点)