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2泊3日遺言ツアー

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グルメと温泉を楽しみながら、遺言を書いてみませんか?
川内美月はイベント会社の新人社員。温泉旅館に宿泊して遺言書を書き上げるという思いつき企画が、なぜか通ってしまい、湯河原の温泉で「2泊3日遺言ツアー」を立ち上げる。
でも、参加者はたった4名。しかもツアー当日、トラブルが続発、美月は一人で初めてのツアーを仕切る羽目に。
個性豊かな客たちに振り回されながらも、それぞれの人生の物語を少しずつ理解し、「遺言書」を書くことの本当の意味にも気づいていくのだが、事件が次々に勃発して、ツアーは大混乱! 
遺言書へのそれぞれの思いを描きながら、家族や人生のことを、しみじみ考えさせる物語。


黒野伸一さんの本です。
 
限界集落株式会社」「万寿子さんの庭」と読んで来て最近注目している黒野さんの作品です。
 
とにかく、読みやすい!
そして、優しいんですよね。この心地良さは何だろう・・・?
 
「遺言」というと、遺産相続争いとか、死んだ時に使うもの、というか、そんなに良い印象がないのですが、残された家族に残す最後の言葉と考えると、何だかとても深いものがありました。
 
主人公がとにかく若い(23歳・社会人1年目)ので、頼りなさが浮き彫りになっている物語の前半から、少しずつツアー参加メンバーと心を通わせ、心なしかたくましくなっていくのが分かるのが良いです。
 
ポプラ文庫系の小説は、基本的に手軽に読めてハッピーエンド、というイメージで、この物語も勿論割ととんとん拍子に物語が進んで行く訳ですが、個人的には全然あり。
 
黒野さんの未読作品もぜひ読みたいです!
(4点)