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夜想

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事故で妻と娘をなくした雪藤の運命は、美少女・遙と出会って大きく動き始める。新興宗教をテーマに魂の絶望と救いを描く傑作長篇


貫井徳郎さんの本です。
 
おーなかなか読むのに時間がかかりました。
貫井さんは文章に癖がなくてとても読みやすいのですけども、何だろうなあ。
つまらないという訳でも、読みにくいという訳でもなかったのだけど、全編に油断できない不安な展開が待っていそうな予感が漂っていたというか、安心して読めない感じで・・・。
それが読むスピードが遅くなった原因なのかもしれません。
 
「慟哭」の中でも扱われていた宗教が、また違った捉え方で本作にも取り上げられています。
 
物に触れると、物に残った記憶やその人の思いを読みとる事ができてしまう超能力を持った大美人学生の遙。
 
妻と娘を事故で亡くし、失意のどん底にいた雪藤が、あるきっかけで遙と出会った事から、物語は大きく動いていきます。
 
人のために自分の能力を活かして相談に乗り、アドバイスをするという小さな活動をしていた遙が、雪藤との出会いから、大きな組織のトップに立つ事になっていくのですが、大きくなっていく組織と、当初思い描いていた理想との差は埋まりません。
 
また、不穏にも合間合間に失踪した娘を執拗に追う母親の話が入るので、この母親がどう遙達と絡んで行くのかと思うと、不安な気持ちになってしまいました。
 
その母親の娘が何処にいるか、という予想は何となく立ったものの、雪藤の種明かしには二度ほど驚かされました。
予想していたものの上を行くどんでん返しが・・・。
 
全体的に見ると、どうもどんよりした気分になる話でした。
何となく雪藤の潔癖過ぎる所についていけなかったりして。
うーん。作品としては悪くないのですが、個人的にはちょっと苦手な作品かもしれません。
(4点)