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ゴーグル男の怪

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「そいつ、両目の皮膚が溶けたように真っ赤なんですよ……」煙草屋の老婆が殺された夜、異様な男が目撃された。現場の窓から覗く顔、次々と発見される黄色く塗られた五千円札、ウラン臨界事故との因縁。そしてついに、白昼堂々《ゴーグル男》が出現した! あなたはこの難事件を解決できるか。怪奇と驚愕に満ちた本格ミステリー。


島田荘司さんの本です。
 
本屋でタイトルと表紙を見かけた時、なんて手に取りにくいタイトル&装丁なんだ!と衝撃を受けたのを覚えています(笑)
地元の図書館で発見し、早速手に取ってみました。
 
島田さんの小説って、会話のテンポが独特なんですよね。
接続詞がない感じ、「を」とか「が」とかが抜けているようなね。
 
だけど、何だか凄く癖になる感じなんですよ。
いつの間にか引きこまれている。
 
本作は、NHKで放送していた「探偵Xからの挑戦状」の中で「ゴーグル男の怪」に大幅加筆修正をした作品なのだそうで。
TV放送をする日に、気になるなあと思いつつ見なかったのをちょっと後悔しました。
 
『ゴーグル男』『殺人事件』『原発事故』、殺人事件の犯人と、それを追う刑事、合間に入るある男の話が凄く意味深です。
特に、ある男の話は辛い過去が語られるあたりから凄く読んでいて苦しいのに、ぐいぐい惹きこまれてしまう。
原発の事故が引き起こした悲劇と、男の人生が、このゴーグル男の事件にどうかかわっていくのか?
全く関連性がないと思われたそれぞれのストーリーが、見事に交差した時、まさかそうくるとは!と驚きを隠しきれませんでした。
 
不幸な過去から現在までを生きる男の話にも、良い意味で終止符が打たれ、光が見えるラストであることも好感が持てました。
結構分厚かったですが、2日で読めました。
 
島田さんの作品はやはり読み応えがあって良いです。
御手洗潔シリーズをまた読み返したくなりますねー。
(4点)