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おいち不思議がたり 桜舞う

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闇のなかに白い影が浮いた。ゆらり、揺れ続ける。「おいちちゃん、怖いよ。助けて……」いまは亡き友の声だ――胸騒ぎを感じたおいちは、友の必死の訴えに耳を傾ける。
本書は、この世に思いを残して死んだ人の姿を見ることができる娘・おいちが、その能力を生かし、岡っ引きの仙五朗とともに複雑に絡んだ因縁の糸を解きほぐしていく好評「おいち不思議がたり」シリーズ待望の新作!
江戸深川の菖蒲長屋で、医者である父・松庵の仕事を手伝うおいちは17歳になった。自らの手で人生を切り拓き、父のような医者になりたいと夢を膨らませているのだが、そんなおいちの身にふりかかるのは、友の死、身内の病、そして出生の秘密にかかわる事件等々。おいちは、さまざまな困難を乗り越えられるのか……。


あさのあつこさんの本です。
 
おいち不思議がたりシリーズの前作「ガールズ・ストーリー」が、時代小説なのにこのタイトルだったのが絶対損をしていると思うくらい素晴らしい作品でした。
続編ということで楽しみに読みました。
 
残念だったことは、少々時間が経過しているため、前作の話を忘れていたこと。
前作はタイトルを変えて「おいち不思議がたり」として文庫化されたので、これから読む人はぜひそちらを先に読んでから読んで欲しいです。


冒頭から切なかったです。
誰にも打ち明ける事ができずにある事を抱えながら、亡くなってしまう友達。
 
そこで見知った顔になる男性。
ひょんなことから明らかになっていくおいちの出生の秘密。
 
貧乏でも、長屋住まいでも、女であっても、とにかく前を見て、歯をくいしばって立ち向かっていくおいちが格好良かったです。
この時代、女の医者など到底なれるものではないのでしょう。
だけど、おいちならいつかやってくれるのではないか、と期待してしまう。
 
今回は友人の死や出生の秘密が明かされたり、その合間に殺人事件や友人の失踪などがバタバタと起こって、とにかくおいちが走り、焦り、無事を祈るばかりで心配になってしまうほど。
 
このシリーズ、続くのでしょうか?
このまま完結してもおかしくはないけど、続きを書こうと思えば続けられそうな感じ。
 
児童書やYAで発表しているあさのさんの作品は、男子が主人公のが絶対映えるんだけど、個人的には時代小説の場合は女子が主人公の方が圧倒的に上手い気がします。
 
面白かったです。