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薄紅天女

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東の坂東の地で、阿高と、同い年の叔父藤太は双子のように十七まで育った。だがある夜、蝦夷たちが来て阿高に告げた…あなたは私たちの巫子、明るい火の女神の生まれ変わりだ、と。母の面影に惹かれ蝦夷の国へ向かう阿高を、藤太と仲間たちは必死で追う。そして「私は阿高を捜しに来た」と語り、追跡に加わる都の少将坂上田村麻呂の真意は…?一方西の長岡の都では、物の怪が跳梁し、皇太子安殿皇子が病んでいた。兄を救いたいと思いつめた十五歳の皇女苑上は、少年の姿をとって「都に近づく更なる災厄」に立ち向かおうとするが…?巫女の力を受けつぎ勾玉を輝かせる「闇の末裔」の少年と、「輝の末裔」の皇女の運命の出会いと、神代の「力」の最後の火花とをきらびやかに描き出す、待望の「勾玉」三部作完結編。


荻原規子さんの本です。
 
やっぱり読むのに3日かかりましたねえ。
分厚いのでなかなか進まない。
 
個人的には先日読んだ「白鳥異伝」ほどは楽しめなかったのですが、最後の最後で阿高にやられました。ずるいわー。もうあんな台詞言われてみたーい!と別な意味で萌えてしまったのですが、ネタバレになってしまうので敢えて言いませんよ。
読んでのお楽しみで。
 
今回は、坂上田村麻呂が登場する時代背景を元に描かれています。
個人的に全く興味を持っていない時代であること、勉強不足がたたったせいか、今一つその世界感に入り込めなかった事が残念でなりません。
だって、第二部の内親王の苑上が出てきたところから、いきなり興味をかきたてられたのですもの!(←これは、多分皇女和宮にはまって読みあさって興味を持った影響が多々あると思う)
 
男装をして野宿をし、旅をするなどという皇女が未だかつていただろうか!
ほとんど顔をさらすこともなく、宮に閉じこもってほとんど動く事もなく、恭まれて慈しまれて、身分の高さが高じてほとんど表舞台に出る事もない――そんなイメージの皇女ですが、苑上は良かったなあ。
 
全く外の世界を知らないのに、男達に果敢についていく。
そしてふと、阿高への気持ちに気付き、あまりの身分の違いに身を引く覚悟を決めてからの思いつめた苑上が物凄く大人っぽく艶めいています。
 
第一部から第二部に移行する時に、突然メインの人物や舞台が変わる事についていけなかったり、中盤中だるみしてしまったり(気持ち的に)もあったのですが、比較的楽しめました。
 
そしてラストの結末は、ぜひ読む価値あり。
これを10代の時に読んでいたら、妄想がどんどん膨らんでしまった事でしょう。
最終的には阿高派になっていた私でした。