No-music.No-life

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誰かが足りない

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予約を取ることも難しい、評判のレストラン『ハライ』。10月31日午後6時に、たまたま一緒に店にいた客たちの、それぞれの物語。認知症の症状が出始めた老婦人、ビデオを撮っていないと部屋の外に出られない青年、人の失敗の匂いを感じてしまう女性など、その悩みと前に進もうとする気持ちとを、丹念にすくいとっていく。


宮下奈都さんの本です。
 
2011年の本屋大賞ノミネート作品、ということで発表前に読む事ができて良かったです。
うーん、感想としては自分にとっても「何かが」足りない、という印象でした。
 
この解決らしい解決をはっきりと見せないまま終わる結末も、普段の宮下さんであればそれが魅力になり、想像力を働かせることができて良いのですけども、何分このタイトルなので、邪推してしまうんですよね。
 
てっきり今回はミステリ作品なのかと思ってしまったくらいですし。
そういった勝手な期待が大きかったせいか、意外とあっさりと終わってしまった事に拍子抜けしてしまった部分はあるかもしれません。
 
それに、今までの作品でも秀逸なものが多いので、「何故、敢えてこの作品が本屋大賞ノミネート???」と思わずにはいられなかったというか(まあ、2011年の対象としてるから仕方ないにしても)。
 
 
けれども、予約3~6までの話はどれも良かったです。
読んですぐは分からない、後から湧き上がってくる読後感とでもいいますか。
後からじわじわと良さが伝わってくる感じなのです。
 
読みやすさは勿論で、だからこそあと少し何かがあれば!と思う気持ちも抑える事ができませんでした。
 
良い作品だと思うし、絶対に悪くはないのですが・・・・・・タイトルに負けちゃっているのかも。
それが少々残念であります。