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限界集落株式会社

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限界集落」、「市町村合併」、「食糧危機」、「ワーキングプア」、「格差社会」などなど日本に山積する様々な問題を一掃する、前代未聞! 逆転満塁ホームランの地域活性エンタテインメント!!
起業のためにIT企業を辞めた多岐川優が、人生の休息で訪れた故郷は、限界集落と言われる過疎・高齢化のため社会的な共同生活の維持が困難な土地だった。優は、村の人たちと交流するうちに、集落の農業経営を担うことになる。現代の農業や地方集落が抱える様々な課題、抵抗勢力と格闘し、限界集落を再生しようとするのだが……。
ルールは変わった!老人、フリーター、ホステスに犯罪者? かつての負け組たちが立ち上がる!!


黒野伸一さんの本です。
 
新聞広告で初めて知り、そのインパクトのあるタイトルに惹かれて予約していた本でした。
序盤は少々とっつきにくい所もありましたが、中盤からラストまで一気に読ませてくれました。
 
レビューでは賛否両論ありますが、個人的にはこういうストーリーが大好きです。
 
高齢者ばかりで若者がほとんどいない田舎の「限界集落」が舞台。
実家のあるその限界集落では、若者がおらず過疎と高齢化が進んだ村になっていた。
 
ひょんなことから農業の経営を行い、町おこしに乗り出す事になった主人公。
虫や動物の被害、役所との対立、古くからの考えを持った村民との意見の相違――
 
様々な困難に立ち向かいながらも、少しずつ町の再生と活気へ繋がっていく様は圧巻で、清々しいほど!
 
ただ、もっと困難という困難を極めたらとことんまで書けるのではないかな、と思うほど意外と順調に物事が進んでいきます。
だけど、だからこそ今のこの不景気のご時世に活気をもたらせてくれる内容だったと思います。
農業に全く興味も知識もなかったIT業界に生きてきた主人公が、野菜につく害虫にギャーギャー騒いでいる意外性とか、農業には向いていなそうな農業就労生の若者達の意外な特技や才能。
そして、田舎特有の困った者を受け入れて、大らかに接してくれることなど、何だか情景が浮かぶようで、私はとても面白かったと思いました。
 
ちなみに、何処か見たことのある温かみのある表紙イラストを担当されているのは、石居麻耶さん。
そうです。万城目学氏の作品でお馴染みの方なのですね!
だから惹かれたのかも。
そして、だからこそ自分好みの作品なのかも(笑)
 
黒野さんの文章は、一つ一つ凄く丁寧で温かみが感じられて好感が持てました。
機会があれば、ぜひ他の作品も読んでみたいと思います。