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恋都の狐さん

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豆を手にすれば恋愛成就の噂がある、東大寺二月堂での節分の豆まき。奈良の女子大に通う「私」は、“20年間彼氏なし”生活からの脱却を願って、その豆まきに参加した。大混乱のなか、豆や鈴を手にするが、鈴を落としてしまう。拾ったのは、狐のお面を被った着流し姿の奇妙な青年。それが「狐さん」との生涯忘れえない、出逢いだった―。第46回メフィスト賞受賞作。


北夏輝さんの本です。
 
メフィスト賞、こういう作品も受賞するんだなあと、まず驚きました。
私が好きな辻村深月さん、小路幸也さんもそうですが、何作か読んでいる乾くるみさん、日明恩さんや、有名どころだと森博嗣さんや西尾維新さんなど、どちらかというとミステリ寄り、ミステリではなくても不思議系の話が多い傾向があるように思います。
 
書店で見かけたカバー(カスヤナガトさん)が可愛く、メフィスト賞受賞作なんだと思い気になって借りてみたのですが、メフィスト賞らしからぬ、ポップでキュートな展開に驚きました。
 
奈良は実は未だに訪れた事がない私なので、奈良に行きたくなりましたし、メインキャラ3人のキャラクターも好感が持てました。
 
ただ、難を言うならば・・・
万城目学さんや森見登見彦さんの二番煎じな感が否めなかった事。
これはマキメ氏やモリミーが好きな人でも、好き嫌いが分かれるかもしれません。
個人的にマキメ氏派の私は割と好感を持って読めたのですが、どうしても「雰囲気が似たようだな」と思わずにはいられなかったこと。
それと、恋愛を謳っている割に中盤まで主人公の恋が動き出さない事と展開が遅い事が少し気になりました。
 
結末には何だか切なさも伴い、狐さん萌えもしてしまったので個人的には満足ですが、この作品は・・・・きっと好き嫌いが分かれるに違いないなあと思うのでした。
 
しかし奈良を舞台のこういう話を読むと、どうしてもマキメ氏の「鹿男あをによし」が浮かんでしまって、尚且つマキメ氏の作品に軍配が上がってしまうのは、マキメびいきの自分からしたら仕方ないのかもしれません。