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神のふたつの貌

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―神の声が聞きたい。牧師の息子に生まれ、一途に神の存在を求める少年・早乙女。彼が歩む神へと到る道は、同時におのれの手を血に染める殺人者への道だった。三幕の殺人劇の結末で明かされる驚愕の真相とは?巧緻な仕掛けを駆使し、“神の沈黙”という壮大なテーマに挑んだ、21世紀の「罪と罰」。


貫井徳郎さんの本です。
 
毎回ながら、叙述トリックにまんまとひっかかりました。
冒頭からずっと違和感を抱き続けていたのです。
その違和感を突き詰めることなく読み進めていたら、気のせいだったのかなあと思ってしまって。
 
第一章は早乙女少年、第二章は早乙女青年、第三章では早乙女中年と時が流れていきます。
どの章でも、誰かが死んだり殺されたりする描写が出てくるのに、それが忘れ去られたかのように次の章が始まっている。
何でだろう?どういうことだろう?
隠滅したのか??
 
そんな事を考えながら、第三章でようやく違和感の正体に気付くのです。
 
全編を通して、心というか血の通っているような気がしない早乙女の得体の知れなさが空恐ろしくなります。
キリスト教の事を全く知らないので、少々難しいなと思う部分もありましたが、ゆっくりと進む物語が、第三章で急速に動き出す感じは面白かったと思います。