No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

西の善き魔女[3] 世界の扉の巻

イメージ 1
 
「世界の果ての壁」の謎を追うルーンとフィリエル。フィリエルは女王との対峙の場に臨む。セラフィールドに暮らす8歳のフィリエルを描いた外伝も収録。


荻原規子さんの本です。
 
シリーズも3作目になると、愛着が湧いてきて俄然読むスピードも速くなってきました。
ところが、「え?!これで完結?!」と予想外な所で本編が終了してしまい、面食らった私は、引き続き同時収録の外伝1を読み進めました。
 
すると、なんでしょう。
この温かい気持ちは。
 
ルーンの過去は、はっきりとは書かれていないけど、相当暗くて辛いものなのだろうと節々で察せられましたが、塔に来たばかりの、フィリエルが8歳当時の物語を描いた中で、連れ戻される恐怖に悲鳴が止まらなくなるルーンの姿が描かれています。
暗い思い闇を抱えたルーン。
ひたすら数字を唱える事でしか、自分を守る術を知らなかったルーンに、一筋の光が差す。
それが、自分とは全く正反対の女の子、フィリエル。
少しずつセラフィールドの人々と交流するにつれ、人間らしさを取り戻していくルーンの姿が嬉しいです。
 
本編ではお互いを想いあう関係になった二人ですが、8歳当時のフィリエルの葛藤や嫉妬など、こういう想いを抱えて、少しずつ乗り越えていったからこそ、築き上げることができた二人の関係なんだろうなあと思うと、とにかく感激してしまって、すっかりのめりこんでしまいました。
 
ルーンは、行こうと思えばどんどん闇の世界に漬かってしまえる立場にいる人間だと思うんです。
だけどそこに、フィリエルという光の世界の住人が現れた。
それによって、ルーンはその光に助けられたのではないかと。
 
上手く言えないですけど、この二人の関係が凄く良いです。
そして、おかみさんとだんなさん、博士の存在が温かくて良いなあと思いました。
その後に起こる悲劇などを分かった上で読んでいるので、尚更このつかの間の平穏がかけがえのないものだと分かって・・・。
 
本編では、色々な部分が中途半端に終わってしまった感じがして拍子抜けしてしまったのですが、外伝はあと2つ4巻に収録されているようなので、期待して読もうと思います。
 
しかしまさか、女王候補がああなるとはねえ。
思わずニヤリとしてしまいましたが、この女王候補で統治された世界も見てみたいと思いました。
 
あまりにも読みやすくて面白いので、昔から存在していた有名な絵本を読んでいるかのような気分が抜けません。
ありありとこの物語に出てくるシーンが頭に思い浮かんでくるのです。
こういう小説って、意外と多くない気がします。
 
面白かったです!