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殺人鬼フジコの衝動

 
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一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして、新たな人生を歩み始めた十歳の少女。だが、彼女の人生は、いつしか狂い始めた。人生は、薔薇色のお菓子のよう…。またひとり、彼女は人を殺す。何が少女を伝説の殺人鬼・フジコにしてしまったのか?あとがきに至るまで、精緻に組み立てられた謎のタペストリ


真梨幸子さんの本です。
 
どこの書店に行っても、「後味悪くて読んで後悔<読まないと後悔」 という大層なポップが置いてあり、これは読まなきゃいけねえだろ!と予約をしていた本でした。
ようやく手元にやってきて、単行本であまり分厚くないと思ったら、久々の上下段。
逆にこっちの方が読みやすさを感じる人なので、非常に期待をして読み始めました。
 
結果――期待し過ぎました。
というより、完全にあの煽り文句に踊らされた・・・。
 
胸糞悪い、という言葉がこれほどしっくりくるのも凄いかも。
ただ、年間200冊以上の本を読んでいる私からすると、死体描写のグロさ、いじめや虐待の描写も、思っていたより酷くなかったように思ったのですが・・・。
書こうと思えば、もっと陰惨に書ける気がするし、そんな仕打ちを受けても淡々としているフジコも謎でしたし。
 
何が胸糞悪かったか、と問われると、「フジコそのもの」だったように思います。
一人称の独白(人が記録として残した文章という体だからか?)が、何とも品がなく、嫌悪感を抱くばかりなのです。
登場人物の誰もが何処か油断ならない、裏がありそうな怪しげな人物ばかりなのにもうんざりしたし、何より、思っていたよりどんでん返しが呆気なかった事に、拍子抜けしてしまいました。
 
真梨さんは初めて読んだ作家さんですが、メフィスト賞作家なのですね。
文章に少々癖があるように思い(まあ、フジコの語りという体だから仕方ないのか)、何とも読みにくかったり。
 
ただ、この「嫌ぁな感じ」は人を惹きつけるのも確か。
いつの間にか読み終えていた、という感じでした。
 
でも、湊かなえさんの「告白」の衝撃よりは薄いかな。
辛いことが続いて救いがない陰惨さ、という意味では、沼田まほかるさんの「九月が永遠に続けば」のレベルには及ばないと思います。
 
うーん、人を惹きつける部分は凄くあったので、とにかく・・・あの煽り文句に騙された!ということでしょうか?
逆にそんな煽り文句がなければ、意外と楽しめたのかもしれません。
この胸糞悪さを、機会があればぜひお試しを!