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たまさか人形堂物語

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祖母の形見の零細人形店を継ぐことになったOL澪。押しかけアルバイトの人形マニア、冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、お店はそこそこの賑わいを見せていた。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告に惹かれ、今日も傷ついた人形を抱えたお客がやってきて澪たちは東奔西走することに。チームワーク抜群の3人の活躍が始まる。


津原泰水さんの本です。

確か、「ブラバン」以来の津原さんです。
津原さんとの出会いは、小学生の頃。
折原みとや青山えりか、小林深雪などの少女小説作家が活躍していた、ティーンズハートという文庫シリーズが当時、書店の一角を賑わしていたのですが、その中で私は、当時「津原やすみ」名義で活躍していた津原さんのあたしのエイリアンシリーズが大好きでよく読んでいました。
今まで性別を明かして来なかったが、実は男です、とカミングアウトして以降、見かけないままだったのですが、いつの間にやら名前を変え、一般向け文芸書を多数発表していて驚きました。

ただ、タイトルやら装丁が近寄りがたいものが多く、唯一、話題になっていた「ブラバン」を手にとったのが最後。
以降、読む機会のないままになっていました。


本書は、祖父から譲り受けた人形屋で、主に人形の修理を生業として店主となった30代の女性が主人公です。
前半は取っ付きにくい印象でしたが、中盤~ラストまで、ぐいぐい引き込まれました。

テディベア、ビスクドール、日本人形、UFOキャッチャーのぬいぐるみ、ダッチワイフなど…
人が人形に抱く想いは様々で、興味深かったです。

昔から…個人的に、津原さんの描く会話のシーンは、非常に味があると思います。
本作の主人公がとても魅力的でした。