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漁港の肉子ちゃん

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みんな、それぞれで生きている。それでいい。圧倒的な肯定を綴る、西加奈子の柔らかで強靱な最新長編。


西加奈子さんの本です。
 
西さん・・・!
またやってくれた!泣かせるぜこの野郎ー!!!
 
という作品でした。
西さんの「さくら」が好きな人は絶対読んで欲しいし、西さんを読むのは初めてです、という人にもぜひ読んでいただきたい!
 
相変わらずの西さん節炸裂、奇妙奇天烈な登場人物、奇抜な設定は健在。
だけど、今回はアリです。
 
とにかく、主人公の女の子の目線から語られる、母親の「肉子ちゃん」のキャラが凄い。
すごぉぉぉぉい、というイビキ。
言葉の最後は必ず「っ!」「!」がつく。
声が大きい。
体も大きい。
言っている事が時々支離滅裂(とにかく、「心や酉や己と書いて、心配と読むのやから!」とか、全く意味のない言葉が面白くて堪らなかった)。
食べても太らない主人公とは反対に、食べた分だけ太る肉子ちゃん。
男を見る目がなくて、簡単に糞男に騙され、それでも懲りずに騙されてしまう。
心配かけまいと無理して言った言葉をそのまま鵜呑みにしてしまう、鈍感なところ。
奇抜で、ダサくてとんでもないセンスの見た目。
顔も可愛くないし、とにかく太っている。
 
なのに、何処か愛嬌があって憎めない。
深刻に悩んでいた事さえ、肉子ちゃんが笑うと相手もその笑顔につられて笑ってしまうような。
 
肉子ちゃんみたいな人がいたら良いなあ、と思いました。
主人公の女の子は肉子ちゃんに似ず、美人で細くて運動もできる子。
誰かを傷つけるより、傷つけられる方が良く、気を遣ってしまう子でもある。
 
全く肉子ちゃんに似ていないこと、親子のようで何処か距離を置いているように思えた答えは、クライマックスで明かされます。
 
まさかああくるとはなあ・・・!
いきなり涙腺が緩んで困ってしまったよ!
 
タイトルが「窓際のトットちゃん」みたいで良いセンス。
西さんのイラストの女性が肉子ちゃんなのかしら?と思ったら、驚きます。
ぜひぜひ。