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高く遠く空へ歌ううた(文庫版)

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ぼく、また死体を見つけてしまったんです。これで10人目なんです。

高くて広い空に囲まれた街で起きる不思議な事件。少年・ギーガンは知らず知らずのうちに事件に巻き込まれていく。第29回メフィスト賞受賞作家が放つ会心作!

「どうして俺たちみたいな人間が存在するのか、俺たちにもわからないんだ。俺たちさえいなけりゃこんなことも起こらないのに」「そこにもう一人のぼくがいるような気がするんです。見えない闇の世界にいるもう一人のぼく」
大人の世界には君たちの知らないことがたくさんある。


小路幸也さんの本です。
 
単行本版で一回読んで、オークションで文庫版を落札したのが大分前の話なんですけども、ようやく文庫版を読む事ができました。
これは、小路さんのデビュー作の続編という位置づけで、「解す者」「違い者」などの言葉がようやく後半で登場します。
 
人とは違う変わった力を持つ少年達と、何故か死者が続出する町。
何かが起こっているのでは?と謎を追っていく少年たちですが、前半から中盤までは、様々な登場人物達とのやりとり、会話に思わずはっとさせられてしまいます。
 
この小説だけでも読む事はできるけど、やっぱりデビュー作を読んでから読んだ方が分かりやすいかも。
人によっては今一つ世界感がつかめないと感じるかもしれません。
私もなんとも読みにくく、?と思う部分を感じながら読んでいるのですが、後半でようやく居住まいを正してしまうような気持ちになりながら読んでいました。
 
登場人物達がとても温かく、ともすれば暗い話になりがちな展開を救ってくれます。