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平成猿蟹合戦図

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歌舞伎町で働くバーテンダーが、ニッポンの未来を変えていく!? 新宿で起きた轢き逃げ事件。平凡な暮らしを踏みにじった者たちへの復讐が、すべての始まりだった。長崎から上京した子連れのホステス、事件現場を目撃するバーテン、冴えないホスト、政治家の秘書を志す女、世界的なチェロ奏者、韓国クラブのママ、無実の罪をかぶる元教員の娘、秋田県大館に一人住む老婆……一人ひとりの力は弱くても心優しき8人の主人公たちが、少しの勇気と信じる力で、この国の将来を決める“戦い”に挑んでゆく!


吉田修一さんの本です。
 
吉田さん「悪人」以来でした。
本作は新聞の広告欄に掲載されているのをみて慌てて図書館で予約。
既に予約件数は結構なものでしたが、地元図書館で誰にも借りられずひっそりと置いてあるのを発見し、早速借りて読んでみました。
 
分厚いので読むのは大変でしたが、中盤からラストにかけての痛快劇にはページをめくる手も弾むようでした(笑)
「悪人」が読み終えた後にあーって憤りを覚えるくらいインパクトを残した作品なら、本作は読んだ後あー!と爽快感で一杯になる作品だったなあと思います。
 
基本、登場人物が良い人です。
歌舞伎町で働く男、ホステス、お店のママ、ホスト、ヤクザなどなど。
ちょっとばかし血なまぐさい展開を想像してしまうような職業の人々ばかりですが、悪人という悪人は数えられる程しか出てこないのです。
 
立ち場も出身も違う、それぞれの登場人物の語りから、一本に繋がるストーリー展開には思わずニヤニヤ。
合間に入る、出身の国訛りになる登場人物の心の声がまたアクセントになっていて良いんですよね。
 
気負わずに楽しく読める、という点で評価したいですが、いかんせん結末が上手く行きすぎかなーという気もする。
だけど、それはそれで、この本に合っているなあとも思ったり。
 
父親が逮捕されている友香と彼氏の颯太の関係が凄く良かったなー。お互い思いやって大事にしている感じが。
秘書の女性や、90歳を過ぎたおばあちゃんも格好良かったし。
こんなに好感を持てる登場人物ばかりの本も珍しいかも。
 
面白かったです!