No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

明日のマーチ

イメージ 1
 
時速4キロの行進に特に意味なんてない。だけど―野宿して見上げた満天の星の下で、廃校の暗い教室で、気がついた。この国は思ったよりもキレイだし、俺たちって思ったよりも逞しいんだ。哀れんでなんか欲しくない。4人のマーチは、やがて数百人の仲間を得て、国をも動かすムーブメントになっていき…。爽快で力強い、著者初のロードノベル。


石田衣良さんの本です。
 
久々に読んだ石田さん。
うーん、悪くないけど可もなく不可もなく・・・?
 
石田さんは、池袋ウエストゲートパークシリーズでも、最先端?の社会問題に切り込んだ話を取り入れたり、色々考えさせられるのですが・・・今回は何となく中途半端な感じがあったかな。
派遣切りにあった四人の若者が、山形県から東京までを歩いて行く事になったという、設定は良いのです。
 
ただ、キャラクター設定が過去作品に似通っているのと、それぞれのメンバーの抱えている問題などが中途半端に重いのに、中途半端で終わってしまっていること。
それがちょっと残念でした。
 
私も不況で契約社員の契約を切られた経験があるので、使い捨ての駒になったような感覚は凄く分かるんですよ。
個人的には、特に個性がなく就活に失敗してそのままずるずると派遣で働くようになった陽介の気持ちに共感しました。
勝手についてくるマスコミ、英雄のようにもてはやされ、問題が発覚すると手のひらを返したように攻撃的になるマスコミ。
自分はただの無職の人間だ、と思いながらもやもやしている感じ。
これが、多分普通の人の感覚なんだろうな。
 
そんな簡単にうまくいくわけないじゃん、というエピローグですが、確かに山形から東京まで歩いたという経験だけでも面接官を「おっ!」と言わせるのかも。
 
ともあれ、やはり石田さんの文章は読みやすかったです。それなりには楽しめたので良しとしましょう。