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福袋

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私たちはだれも、中身のわからない福袋を持たされて、この世に生まれてくるのかもしれない…見知らぬ客から段ボール箱を預ったバイト店員。はたしてその中身とは?家を出ていった夫の同窓会に、代理出席した離婚間近の妻。そこで知った夫の過去とは!?自分の心や人生の“ブラックボックス”を思わず開けてしまった人々を描く、八つの連作小説集。


角田光代さんの本です。
 
上司が貸してくれた本ですが、角田さんは先日読んだ「八日目の蝉」以来ちょっと久々に読みました。
一時期自分から角田さんの作品を沢山読んでいたのですが、今一つピンとこない作品ばかり手にしてしまったようで、自然と離れてしまったのですよね。
 
でも、久しぶりに角田さんの作品を読んでみるとこれが結構癖になるんだよなあ。不思議。
 
今回は8編の短編。
誰かの忘れもの、預かりもの、等々・・・ひょんなことから「ブラックボックス」を開けてしまった人々の悲喜こもごもが描かれます。
 
巻末の解説で、角田さんの作品ってそうそう!そうなんだよ!と思う一文が。
 
「角田さんの小説は人生を手ばなしに肯定しない、否定もしない。」
 
まさにこの一文が角田作品を言い表しているように思います。
自分の身近にある、日常の中の出来事のような。
何かのきっかけで、自分自身が角田さんの物語の中の主人公になれる(良い意味でも悪い意味でも)、そんな何とも言えない現実感が・・・だけど結構嫌いじゃなかったりして。