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未成年儀式

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あの夏の日―。夏休み初日でほとんどの寮生が帰省し、光陵学院の女子寮に残ったのは小説家を志望する渡辺七瀬ほか物好き五人の少女たちだった。午後に起こった突然の大地震。そこへ双子の姉妹がとんでもない事件を目撃したと駆け込んでくる。地震の影響で外部との連絡が完全に断たれてしまっている極限状態のなかで、さらなる危機が七人を追いつめる。その先で少女たちが見たものとは―。


彩坂美月さんの本です。
 
「夏の王国で目覚めない」が凄く良かったので、デビュー作を読んでみる事にしました。
 
読めば読むほど、辻村深月さんの覆面作家説(勝手に思いこむ・笑)が濃厚になっていきます。
雰囲気や人物設定、ストーリーと最後の温かい未来が見えるような結末は通じるものがありますよね。
 
彩坂さんの作品、これでまだ二作目なのでよく分かりませんが、限りなくミステリーに近いのに、その実人は一人も殺されない、という所が特徴かなあと思います。
詳しく語るとネタバレしてしまうので控えますが、そういった意味でも今回も読み終わった後のほんのり温かくなるような感覚は良いなあと思いますね。
 
実際に大地震を経験した今年の、このタイミングで読んだので、描写がリアルに迫って来ました。
本作では大地震により土砂崩れに巻き込まれるという描写がありますが、津波の映像と妙にリンクしてしまってやけにリアルで怖かったです。
想像の中だけの物語ではなく、このタイミングで読んだからこそ、リアルさがより伝わってきたなあと。
 
夏休み中の寮に残った女子生徒達のそれぞれのエピソードが詰め込まれているので、男性教師の登場は敢えて入れなくても良かったかも、と思ったりします。
 
個人的に、七瀬と幼馴染の亨の近すぎず遠すぎずの関係が凄く微笑ましくて良かったです。
 
本作の中に、「夏の王国で目覚めない」で軸となった作家である【三島加深】の名前が出てきてニヤリ。
彩坂さんのもう1冊の本の中にも、もしかしたら出てくるのかな?
 
もう1冊の作品もぜひ読んでみたいです!
どうやら私、彩坂さんの作品にはまってしまったようです。