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夏の王国で目覚めない

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父が再婚し、新しい家族になじめない高校生の美咲。だから、幻想的なミステリ作家、三島加深のファンサイトで加深が好きな仲間を知ったことは大きな喜びだった。だが〈ジョーカー〉という人物から「架空遊戯」に誘われ、すべてが一変した。役を演じながらミステリツアーに参加し、劇中の謎を解けば、加深の未発表作がもらえる。集まったのは7人の参加者。しかし架空のはずの推理劇で次々と人が消え……


彩坂美月さんの本です。
 
辻村深月さんは「みづき」ですが、彩坂さんは「みつき」と読むそうです。
あーこれ・・・・・・物凄く私好みだわ、と読み終えて大満足!
 
いうなれば、初期・辻村深月作品と相通じるものがある。
人物設定もそうですけど、10代後半~20代前半の若者層で折り重なる群青劇と、ミステリ展開。
辻村さんの「冷たい校舎は時が止まる」が好きな人は、きっと好きだと思います。
 
辻村さんと比較してしまうと、文章は少し稚拙かも。
ただ、完全に私の好みの作品だったせいか、そのおぼつかない感じすらも好感が持てる。
登場人物にも何だか愛着が湧いてしまったし、そして何よりこのミステリ展開!
 
熱狂的なファンの多いミステリ作家の未発表原稿を手に入れる事ができると、ネットで知り合った作家のファンである7人が、あるミステリーツアーに参加することになります。
そこでは、自分がネット上の誰であるかも、自分の本名や経歴をも明かす事は禁止され、外部との接触を一切取る事ができないのです。
それを破ると即ゲームから抹消されることになる。
 
それぞれコマンドが割り振られ、劇中の登場人物の名前と設定を与えられた7人。
指示通りの台詞、行動をしなければいけない中で、実際に一人、また一人と謎の失踪や死体となって参加者達が消えていく――
ゲームを下りる事は許されない、誰が犯人(ジョーカー)なのか、一体何が目的なのか?
7人の中に犯人がいると確信した彼らは、疑心暗鬼に陥り、そして最後のコマンドが提示され――


最後のどんでん返しと真相。
そしてネタバレですが、
 
結局誰ひとり死んでいない、と分かった時のほっとした感じ。
そして主人公の新たな関係が始まる前向きな終わり方、辻村さんの作品にあるハッピーエンドに通じるものがありましたし、面白かったです!
 
表紙のイラストも可愛いです。
そして何より、タイトルのセンス!
 
「夏の王国で目覚めない」
 
良いタイトルだと思いませんか?
ぜひ読んでみてください!