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真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ

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都会の片隅に、真夜中にだけオープンする不思議なパン屋さんがあった。あたたかい食卓がなくても、パンは誰にでも平等に美味しい。心地良い居場所を見つける物語。

謎多き笑顔のオーナー・暮林と、口の悪いイケメンパン職人・弘基が働くこの店には、
パンの香りに誘われて、なぜか珍客ばかりが訪れる……。
夜の街を徘徊する小学生、ワケありなオカマ、ひきこもりの脚本家。
夜な夜な都会のはぐれ者たちが集まり、次々と困った事件を巻き起こすのだった。  

家庭の事情により親元を離れ、「ブランジェリークレバヤシ」の2階に居候することになった
女子高生・希実は、“焼きたてパン万引き事件”に端を発した失踪騒動へと巻き込まれていく…。


大沼紀子さんの本です。
 
朝日新聞の広告欄によく掲載されていて、評価が高いようなので気になって予約していたものがようやくやってきました。
ポプラ文庫やピュアフル文庫あたりは、ヤングアダルトないし児童文学の類が多いので、そこそこ楽しめるものや良作が結構あります。
評価が高いだけあって、本作もなかなか良かったです。
ただ、やけに文章が淡々とし過ぎていて、登場人物達との距離を感じてしまったりもしたのだけれど・・・。
それでも癖はないので割と読みやすい文章でした。
 
何より良かったのは、登場するパンの美味しそうなこと!
美味しいパンは、人を幸せにするって本当だなあと、読んでいて思いました。
美味しいパン屋さんって、選ぶ段階からワクワクして幸せな気持ちになりますよね。
こんなパン屋さんがあったらぜひとも行きたいなあ。
 
それと、割と内容が重めだったりすること。
育児放棄する母親、イジメなど、登場人物達が抱える問題は大きい。
けれどもパンを食べたらいつの間にか顔がほころんで、幸せな気分になっている。
 
なんというか、原点に帰らせてくれる、みたいな気持ちになりましたねえ。しみじみと。
 
でも本当に、パン屋って基本的に明るいうちしか営業していませんけど、深夜に営業したら場所を選べば、割とお客さんが来るんじゃないかなあ。
ましてこんな美味しそうな匂いが漂ってくるなら尚更。
 
にしても、こだまと希実の親達の育児放棄っぷりには思わず眉間に皺が寄ってしまいました。
こんな扱いを受けても、母親を好きという子供の姿の切なさよ・・・。
なんだかなあ。