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心星ひとつ ―みをつくし料理帖―

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酷暑を過ぎた葉月のある午後、扇屋の楼主伝右衛門がつる家を訪れた。伝右衛門の口から語られたのは、手を貸すので吉原にて天満一兆庵を再建しないか、との話だった。
一方、登龍楼の采女宗馬からも、神田須田町の登龍楼を、居抜きで売るのでつる家として移ってこないか、との話が届いていた。登龍楼で奉公している、ふきの弟健坊もその店に移して構わないとの事に、それぞれが思い揺れていた。
つる家の料理人として岐路に立たされた澪は、決断を迫られることに──。
野江との再会、小松原との恋の行方は?


高田郁さんの本です。
 
泣いた・・・!
みをつくし料理帖」シリーズ、今までずっと追いかけ続けて来ましたが、もう1冊たりとも外れがないと断言します!
シリーズって長く続くとどんどん微妙になっていくものが多いですよね。
好きなシリーズであれば、そこそこ楽しめるけどだんだん満足度が下がってきてしまったり。
 
けれども、このシリーズだけは裏切りません。
毎回毎回、読みながら目がウルウルしてしまって仕方がありませんよ。
 
今回は、「つる家」の女料理人の澪に数々の困難がぶち当たります。
一流の料理人から、料理人失格と言われたり、破格の条件で二か所から夢を実現し、奉公してきた二人の主人たちの夢をもかなえられるかもしれないと思う話が舞い込んできたり。
またとうとう想い人・小松原との縁談が舞い込み――


<ネタバレあります>
自分の幸せより、吉原にいる野江の身受けのことを考えたり、主人たちのこと、下足番ふきと弟のこと・・・と、とにかく周りの人の気持ちを考えては悩む澪の優しさにもどかしくもなります。
 
野江との思いがけずの再会、小松原からの求婚、料理人としてまたとない好条件がもたらされるなど、目頭が熱くなるシーンが何度あったことか!
 
特に小松原が気負わずに「ともに生きるならば、下がり眉が良い」の一言が・・・ダメでした。目頭が熱くなってしまって。
 
それでも、読み手にも澪が決して自分が何よりも大事なものを見謝ることなく決断できる人であると分かっているはず。
だからこそ、小松原との縁談を受けた後なのに決意を固めたと思われる今後の展開に苦しくなり、だけどそれでこそ澪なのだろうな、と思うのでした。
 
高田さんとしては、最終回のシーンや展開は既に考えているとのこと。
個人的に1年に2回ペースの発売であれば十分早いと思いますし(1年に1回しか出ないやつだって他の作家さんのとか、よくありますし)、続きが気になって仕方がありません!
 
早く続きが読みたい!